②介形虫からわかる沿岸域の災害の履歴
熊本大学 くまもと水循環・減災研究教育センター 准教授 田中 源吾 氏
介形虫は、体長は1mmにも満たない甲殻類の一種である。
二枚貝の中にエビが入ったような体制をしており、約5億年前以降、石灰質の殻が化石として堆積物中に保存される。世界中の陸水から深海まで様々な水域に生息しており、種ごとに異なる生息域を持つ。従って、過去の環境変化を復元するのに適しており、近年では津波や温暖化についての研究もなされている。
本講演では、沿岸域の災害の履歴を復元するうえで、介形虫の持つ重要性とその研究法について、以下の3つの事例を紹介する。
1.1498年、鎌倉の明応津波を示唆する介形虫群。
2.2011年東日本大震災で陸前高田の町を覆った、海底砂は何処からもたらされたか?
3.2020年の「令和2年7月豪雨」前後の砂川河口の介形虫群の回復過程。