
平成28年熊本地震から10年。この10年、私たちは耐震化や危機管理体制の強化など、災害への備えを進めてきました。しかし、令和8年熊本地震を経験して改めて分かったことがあります。それは、どれほど備えても、大地震そのものを防ぐことはできないという現実です。
一方で、私たちは災害から立ち直る力を高めることはできます。
平成28年熊本地震では、誰も経験者ではなく、手探りの中で復旧に向き合いました。しかし、令和8年熊本地震では、熊本地震を経験した職員たちが、自ら判断し、行動し、復旧を前へ進めました。その差を生んだのは施設ではなく、「経験」でした。
また、二つの熊本地震で私たちが学んだのは、災害は一人では乗り越えられないということです。全国から寄せられた支援、人と人とのつながりが、復旧・復興を支える大きな力となりました。
しかし、経験した人はいつか現場を離れます。だからこそ今、私たちに求められているのは、被災の記憶を残すことではなく、困難の中で培われた経験や判断力を次の世代へ引き継ぐことです。
平成28年熊本地震から10年。そして、令和8年熊本地震から3か月。
私たちが未来へつなぐべきものは、災害の記録ではありません。災害を乗り越えた経験であり、その経験によって育まれた人材です。災害は防げない。しかし、その後の未来は変えることができる。そのことを、二つの大地震を経験した熊本市の歩みを通してお伝えします。