
高速道路や新幹線、一般道路、鉄道などの交通インフラは、普段は当たり前に利用できるものと思われがちです。しかし、一度災害によって遮断されると、周辺地域の大渋滞の発生につながり、救急や避難、支援者の移動、支援物資の輸送が困難になるだけでなく、通勤・通学・通院などの日々の暮らしや、ビジネス・観光・物流といった都市間の経済活動にも甚大な影響を及ぼします。
本講演では、まず2026年7月に発生した熊本地震を事例として取り上げます。被災地となった宇城-八代間を通る主要な6本の交通軸(九州新幹線・鹿児島本線・九州自動車道・国道3号および県道3本)のうち4本が不通となり、深刻な大渋滞が発生した状況とその影響について速報的に紹介します。さらに、この渋滞を抑制して移動の円滑化を図るため、国土交通省、県・市、警察、交通事業者、NEXCO、大学関係者等が緊密に連携して実施した「災害時交通マネジメント」の具体的な取り組みを解説します。
さらに、2016年4月の熊本地震後の復興事業として整備された益城町の県道4車線化事業を題材に、災害に強いまちづくりにおいて熊本大学をはじめとする関係者が果たした役割と意義を解説します。最後に、非常時に迂回路として機能する「リダンダンシー(多重性・代替性)」の観点を取り入れた交通インフラ評価の重要性について分かりやすく提示します。